8人が本棚に入れています
本棚に追加
黒猫探偵舎は、黒猫ビルの2階。1階の『喫茶黒猫』と入り口は共用で、喫茶に来たのか、探偵舎に来たのか分からないようになっている。依頼人のプライベートに配慮しているのだ。
珠子が2階への階段を、仕事をやり終えた満足感で足取り軽く登っていくと、黒猫の可愛らしいステンドグラスがはめられた扉の向こうに、来客の気配が感じ取れた。
業務上、それなりの防音措置がされているので、話し声が漏れることはないが、この三年の経験で、何と無くの雰囲気で来客の有無が分かるようになっていたのであった。
もっとも、通常は来客があるかどうかはもちろん把握しているので、こういったことは急な依頼が入った時に限った話ではあった。
最初のコメントを投稿しよう!