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妹はもぐもぐしていたホットドッグを飲みこむと、
「兄っていっても、ほんのちょっとの差じゃないの。あたしたち、双子なんだから。わ、あれも美味しそう!」
強引に腕を引っ張られ、半ばひきずられるようにして兄は妹について行く。
どうやら兄の威厳は、異国に舞う淡き雪のごとく儚く消えてしまったようだ……。
そんな兄妹のやり取りを広場の片隅でじっと見つめる男がいた。
腕組みをして不敵な笑みを浮かべる男の稼業は「荒事屋」
――悪いが、すんなり帰すわけにはいかない。別にあの双子に恨みはないが、ある目的のために人質役をやってもらわきゃならん。
煉瓦造りの建物の壁にもたれかかっていた男は腕組みをほどき、二人に向かってゆっくりと歩き出す。
東国の王の孫にして水軍の長の子供たち。その生まれゆえに待ち受ける苦難を、今の兄妹はまだ知らない。
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