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「レー……ようやく見られた。なんて、なんてきれいなの……」
レーの舌がリラの頬の涙をぬぐった。
「ハグルマは対を成したなら」
毒々しいまでに赤く塗られた唇が動いた。
「終わりだよ」
リラは体の奥、胸のあたりで何かが折れる音を耳にして、レーに口づけた。
二つの体は見る間に硝子のように透明になった。そして薄い氷が崩れるように、リラとレーは瞬く間に砕け散った。
「終わりだ」
微小な歯車だけが残っていた。
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