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寒いと思ったら白い雪がチラチラと空から舞い降りてきた。
B「こんな寒い日によく並ぶ気になったな。」
A「えー?だってあの人気店の新発売スイーツだよ。これは食べるっきゃないでしょ。」
私は手に持つスイーツを一口頬張り、後ろを歩く彼の方を見る。喋るたびに口からは白い息が出て、雪の勢いと寒さが増してきた。
楽しみにしていた人気店の新発売スイーツ…。
私は学校が終わると同時に教室を飛び出し、違うクラスの幼馴染の彼を強引に引っ張って人気店に1時間並んでようやくスイーツを手に入れた。
B「スイーツって…それホットドッグじゃねぇの?」
A「あはは、違うよ。スイーツって言ってるじゃん。これはね、パンの間にチョコスティックが入っててね、その横にメロンとバナナのスライスが一緒に挟んであるの。そして最後に苺ソースをかけて完成。」
B「こんな寒い日には温かいたい焼きとかあんまん食べろよ。」
A「でも…美味しいよ。」
B「あぁ…だろうな。そんな顔して食べてれば美味しいのは分かるよ。」
大好きなスイーツをにっこり笑顔で食べる私…。
そんな私を見て彼は少し微笑んだ。
B「今日、いつもと髪型が違うな。」
A「うん。だって髪の毛下ろしたままだと髪にソースがついちゃうかもしれないじゃん。」
B「……ポニーテールも良いな。」
A「え、何?ごめん、聞こえなかった。」
B「何でもねぇよ。」
小さな声でボソッと話す彼の言葉が聞き取れなくてもう一度聞き返すが、彼は教えてくれなかった。何故だろう…彼の顔はほんのり赤くなっていた。
そして私はスイーツをもう一口頬張る。
B「それ、俺の分はねぇの?」
A「ひとつしか買ってないよ。」
B「マジか。1時間も並ぶの付き合ったのに。」
A「これ一緒に食べようよ。」
そう言って先に私がスイーツをパクッと食べて、彼にも一口食べてもらった。
A「美味しいね。」
B「確かに美味いな。」
私と彼はスイーツを頬張り、お互い顔を見合わせてにっこりする。
外は雪が降って寒かったけど、彼と一緒にいる時間は心がポカポカ暖かかった。
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