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「おこぎさん?聞いたことないな。どの辺にあるの?」
「それがよく分からないんですよ。どこか山奥にあるらしくて…」
どこにあるのか分からない…
「へー。通うの大変そうだね」
「いえ、全寮制の学校なので、実習期間は私たちも泊まらせてもらえることになっています」
全寮制の学校…
心臓は痛いほどドクンドクンと鳴っていて、嫌な汗が吹き出てきた。それなのに、まるで冷蔵庫の中にいるように寒く、体の震えを抑えられない。
「編集長、どうしたんですか?顔色悪いですよ」
「大丈夫ですか?」
心配そうに俺を見る彼女の顔に、知らない女の子の顔が重なって見えた。その顔は、何故かとても懐かしく、胸が締め付けられるほどに愛おしい。
「だ、ダメだ……そこは……っっ痛ぅ!!」
心臓を鷲掴みにされたような強い痛みに、俺は胸を押さえて意識を失った。
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