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東京に移り住んでもう何年にもなるが ふと、故郷の味が恋しくなることがある。 そろそろ、アレの時期かなと思っていると 北海道の両親からの宅配便が届いていた。 地元の海の幸がたっぷりと詰め込まれたクール宅配便だ。 我が家では、これが届くと決まって鍋にすることにしている。 北海道の旬の捕れたての海産物だ美味しくない訳がない。 そのなかで唯一、妻と子供たちに不評な魚があった。 理由は見た目がグロテスクだからだそうだ。 しかし、私はこの魚が大の好物だ。 だれも箸もつけようともしない好物を最後までゆっくり味わえるのはありがたい。 しかし、今回は違った。 『アナタその魚好きねえ…いつも美味しそうに食べてるじゃない、一口ちょうだい』 そういって返事も待たずに妻が一口パクリと行く。 『あら!まぁ、この魚ってこんなに美味しかったの?』 その声で及び腰だった子供たちも、食べ始める 『美味しい!』 『パパずるい、これを一人で食べてたなんて!』 みるまになくなっていく好物の魚 ああ、まだ一口しか食べてなかったのに… 『こんなに美味しいの黙っているなんてずるいわよ、これってなんていう魚なの?』 『…八角』
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