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甘い約束
「櫻本先輩、勉強教えてください」
教科書で口元を隠し、うるうるさせながら俺を見上げてくる拳生に悶絶する。
可愛い!!
「い、いいよ。どこ教えて欲しいんだ?」
「分からないところが分からないです」
「………あれ?思ったより重症だなお前」
結構見た感じ不良高校にいる割には真面目なナリをしているので頭いいのかと思ってた。
斯く言う俺もそんなに頭はいい方ではない…が、元々はこの柚川高校に通う予定ではなかった。
俺には3つ選択肢があった。
県内一の進学校…秀葉高校。
進学だけではなく、就職希望にも特化した兼山高校。
そして、県内一の不良高校…俺の通う柚川高校。
本当ならば兼山高校に通うはずだったのにまさかまさかの受験日に季節外れのインフルエンザにかかってしまったのである。
柚川高校と言えば、名前さえ書いておけば合格できるという程の偏差値。
元々そんなに頭の良くない俺でも常に上位にいる。
拳生も見た目は普通の生徒だから、俺のように何か事情があってこの学校に入学したんだと思ってたんだけど…。
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