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「好きって言ってくれたのは嬉しいよ?だけどそれからどうすんの?」
ただ、伝えたかっただけ?
それとも、付き合いたいの?
「あー…。とりあえず手紙書いた時はただお礼を伝えたいって思ってて、実際櫻本先輩を見たら好きって言いたくなって…」
俺の目の前まで歩いてくると、ギュッと両手を掴まれる。
「好きって伝えたら…キス…したくなっちゃいました」
手の甲にちゅっと郷田の唇の感触。
「な…ら…」
緊張で口の中がカラカラだ──。
それでも声を絞り出す。
「キスをした…その後は?」
「…………お付き合いしてくれますか?」
上目遣いで言われる。
あざとい!!あざといぞ!!郷田!!
けど…。
可愛い!!!
「………俺は…恋愛対象男じゃない…から、お前の事そういう風に見れないかもしれない」
「先輩」
俺の言葉を遮りると…
「僕の事嫌いですか?告白は気持ち悪かった?」
「っ!?…それは無い!!お礼にし来てくれたし、嬉しかった!!何より…名前…」
「名前?」
「………最初からお前…俺の事名前で呼んでくれたから…」
噂が独り歩きしているせいか、入学してひと月も経てば、1年生の間にも『女王』の名前は浸透している。
「さっき…噂。知らないフリしてくれたんだろ?…俺が傷つくのがわかっていたから…」
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