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「なんでわかったんだ……と言いたげな顔ですけど、それだけ疲れた顔してたら気づきますからね!!」
ぷっくり膨らませた頬が可愛い。
ハムスターみたいだなぁ~。
「櫻本先輩!!!聞いてるんですか!?」
頬をうにょーんと引っ張られる。
「にゃあ、けんふぇー」
「え?猫語??可愛いです」
「ちぎゃう。てぇはにゃせ」
「離し難いですけど…」
いつまでたっても離そうとしない拳生を睨む。
ふふふと笑いながらやっと手を離した拳生の腰に思い切り抱きつく。
「先輩?」
すんっと息を吸い込むとふわりと柑橘系の香りがする。
拳生の匂いだ──。
もう一度すんっと吸い込む。
………癒される…というか、疲れが吹っ飛ぶなぁ。
男と付き合う気なんかなかったんだけどなぁ。
先日の呼び出しから始まったこの関係。
ほんの数日しか経っていないのに俺の中で拳生がとても大きな存在になっている。
下からそっと拳生の顔を見上げる。
俺より背が低いし、見た感じ長嶺よりもひょろっこくて、顔立ちだってカッコイイより小動物系で…。
だけど、ふとした瞬間の顔がとてもカッコイイ。
………イケメンってよりフツメンなんだけどな。
でも、俺にとってはカッコイイ彼氏だ。
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