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カリカリカリカリ…
ひたすら拳生の筆跡の音が鳴り響く。
書いては消し、書いては覚えの繰り返し。
読んでいた小説を少しずらし、その横顔を盗み見る。
至って普通の平凡な顔。
身長だって………んん???
「拳生……背ぇ伸びた???」
少しだけ高くなった目線に違和感を覚える。
「え?……あぁ!伸びました!5cm!」
「へ?いきなりそんなに???」
俺もう174cmで止まったけど…。
「うちの親も高校から伸びたらしいですから、きっと僕はこれからですよ。伸びるの!父親が180で、母親が170なんです。今は172…かな?」
……間違いなく数ヵ月後には抜かされそうだな。。。
ちなみに俺の父親は170で、母親は161だ。
「そんな事より…誓さん。ご褒美…欲しい」
へ?
クルリと拳生を見遣れば…
「ヒッ…」
口にシャーペンを咥えている姿は先程までの可愛い拳生ではなくて…。
も、猛獣がいる!!!
「ご、ご褒美?」
「はい。正直勉強嫌いなんですけど…誓さんが言うから頑張ってみます。だから、この追試でいい点数が取れたらご褒美欲しいです」
スルりと頬を撫でられて、思わず肩を揺らす。
「た、とえば?」
よせばいいのに思わず口にした言葉。
「リクエスト…応えてくれるんですか?じゃあ…」
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