第二話 全寮制の男子校

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 3年生に上がってすぐに学校から宣言がなされた。  学校から卒業できるのは一人だけだと。それから、3年生の授業と試験は全て学校側が決定するという事だ。  上流社会で必要になるマナーや言葉遣い。所作やお茶や芸事まで試験は多岐に渡った。  今までの知識が一切役立たない。これらの事に精通していた奴らも居たが、すでに誰かに吸収されている。そいつらを殺して知識を奪うしか無い。殺す方法を考えると同時に、学校が出してくる試験内容に関しても覚えていなかればならない。  3年生の試験からは、学校側が指定する人数しか次のテストが受けられない。処分されるのだ。殺して奪うには、リスクがあるが、殺さなければ覚えるしか無い。覚える自信がない者は殺して奪う。その知識を持っている事を隠しながら生活して生き残るために殺しと勉強を行い続ける。  ここではそれが当たり前だ。  俺達は選ばれた者たちで、上流社会の者たちだ。弱い者から搾取してなにが悪い。命さえも同じだ。  でも、俺は三年の2学期が始まるのを知る事が出来なかった。  殺されてよかったとは思わないけど、なんか疲れたのも事実だ。負け惜しみではない。俺は疲れたのだ。
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