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「あいつが更生して立派に人間になって、社会の役に立つ人間になるとしてあなたはそれを許せるの?」
「母さん、それは」
「娘を殺した人間がその罪と向き合うことで立派になって幸せになる。そんな理不尽なことがあってもいいの?」
母さんの目はもう何も見ていなかった。
白衣の男は扉を開けて出ていこうとした。その時、和夫は最後の黒川の言葉がどうしても気になって白衣の男に尋ねた。
「最後に黒川は私たち家族の名前を呼んでいました。母や俺の名前を呼ぶのは分かりますが、なぜ奴は父の名前を呼んだのですか?父は瑞樹が生まれてすぐに死んだのに」
白衣の男は少しニヤリとして答えた。
「泣ける話にいい父親は必須だろう?」
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