第002話 動揺

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「っ! ……あ、あの……はい。あ、いえ問題ございません。アラン、そのまま続けていただけますか。レイ、お気遣い感謝いたします」  驚いたエリー王女は身を一歩引いた。効果は全くなく、むしろ緊張感が増したように思える。レイは少し残念そうに笑顔を作って応えた。  気遣ってもらっているとは知らないエリー王女は、先ほど以上に動揺している気持ちを気づかれないように落ち着かせようとしていた。  レイは可愛らしい容姿に似つかわしく、性格も人懐っこいようだ。薄茶色の髪がふわふわと揺れ、大きな瞳と優しい表情。それでも今のエリー王女には何も伝わってこなかった。むしろその人懐っこさが怖いとも感じる。  今後この二人とずっと一緒にいなくてはならないことに、絶望すら感じていたのだった。
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