第003話 王命

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 案内されたところはシトラル国王の私室。そこでは、シトラル国王とその側近二名がエリー王女を待っていた。  シトラル国王は、祖父の代で世界屈指の大国となった国を治めている。この国は今もなお、その権威は失われていない。シトラル国王はさらに金融市場を発達させ、アトラス王国は資金調達や各国との継続的な資本輸出を行ない、運用の中心となった。そのことで世界経済に多大な影響をもたらしていた。  少し長めの髪を後ろで結び、鼻下と顎に髭を生やし、眼光の鋭いその目で威圧する。彼の身に纏うオーラや威厳は小さな国の王であれば縮こまってしまうほどであった。  しかし、今エリー王女の目の前にいる人物は、それを感じさせないほど娘にデレデレで、どこにでもいる父親そのものだった。エリー王女とは違う一重の切れ長な瞳は、もう黒眼が見えないほど細くたれ下がっている。image=512865865.jpg
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