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ここアトラス王国では十八歳で成人として認められ、婚姻も可能となる。そのため、エリー王女は誕生日を迎えるその日から公の場に出ることを許されるのだ。外の世界を早く見たいという思いが強く、日々期待に胸を膨らませるのだった。
「お父様やお母様のような素敵な恋愛が出来るかしら?」
「そうですね」
やはりマーサは笑顔で応えてくれる。マーサは十二歳年上であり、幼い頃からずっと面倒を見てくれた姉のような母のような存在である。品の良い美しい表情と少したれ下がった優しい瞳。長い髪をきれいにまとめ上げ、凛とした姿。エリー王女はこの何もかも包み込んでくれるマーサが大好きだった。
エリー王女がマーサにそう訊ねたのには理由がある。
シトラル国王とレナ王妃は大恋愛をした末に結婚をしたと聞いていたからだ。その話を聞いてからというもの、エリー王女も同じように素敵な恋をしてみたいと憧れを抱いていた。それは外に出たときの楽しみの一つだった。
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