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「は?」
俺は、口をポカンと開けていた。
「…なに、言ってんの?」
「だから。私が、養ってやろうか?」
「何で?」
「お金のこと心配してんだろ?養ってやる。だから貴様は養成所へ行け」
「は?」
いやいやいやいや、何言ってんの?
養うって何。何で俺が和田に養われる訳?どういう話の流れ?てか、養うって…
「…一緒に暮らすってこと?」
「貴様、いまスケベなこと考えてるだろ」
実際、そんなこと考える余裕は無かった。
和田と俺が一緒に暮らす?そんで俺が養成所通って芸人目指して、一人前になるまで和田が俺を養ってくれるだと?
…何のために?
「…それ、お前にメリットある?」
心からそう思った。
和田からすれば、家で馬を飼うような話。
つまり、手間が増えて金がかかるだけだ。
「メリットが無いならこんな提案はしない」
「いやいやいや、無いだろ」
「いや、あるって言ってるだろ」
「じゃ何だよ、そのメリットって!」
マジで全然分からない。
すると彼女はハア、とため息をついて。「なんてバカなんだ」と呟いた。
「…バカに解るように説明してくれ」
そう答えると、観念した様子の彼女は、一気に残りの水を煽って。ゴミを俺に押し付けた。
「お前、私のことが好きなんだよな?」
鼻と鼻の距離が、5センチくらいに近付いた。
ちょ、さすがにこの距離はまずい。可愛すぎる。
「す、好きだけど、何…」
「好きなら、私のことをよく見やがれ」
「は?」
「私のことを考えたら、答えは出るだろう」
は?どういう事?
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