2503人が本棚に入れています
本棚に追加
隣で真里花が息を飲む。私は、胃の中に突如、重たい何かが降ってきたような感覚になった。
…めちゃくちゃ、ショックを受けていた。
「…誰?」
「それは、ちょっと内緒」
「告白しないの…?」
「…絶対フラれるから、しない」
誰なんだろう、哀川の好きな人。いつから居たんだろう。気になる。気になって、仕方ない。
「…とにかく、ごめん」
哀川がキッパリとそう言うと、彼女は教室を出て行った。すると真里花が囁く。
「…気になってんでしょ、哀川の好きな人」
「!」
「あんなイケメンの彼氏が居るクセに、悪い女だねえ?」
揶揄うみたいにそう言うから、食い気味に言い返した。
「そんなんじゃないからっ!」
「バカ、声デカッ…!」
「…!」
真里花に口を押さえられたけど、時既に遅し。戸口から、哀川が顔を出した。
「…何やってんの、」
「…」
真里花と顔を見合わせた後、へへへ、と2人揃ってわざとらしく笑って見せた。哀川が溜め息を吐く。
「盗み聞きかよ、趣味悪ィな」
「たまたまだよ、たまたま!ねっ、真里花?」
「そうそう!哀川のクセに生意気だなって言ってたのよっ!」
すると哀川が隣に座った。
最初のコメントを投稿しよう!