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俺達が神社に着いたのは18時前くらい。
小腹が空いたし、フライドポテトとかフランクフルトとか、適当に食いモンを買って。ブラブラしてたら、タッキーが言った。
「あ、間宮!」
指差した方向を見ると、間宮…と、米澤。そして見てしまった。しっかりと繋がれた、その手を。
「…!」
目が合うと、米澤は何故かその手を振り払った。
「うわ、デートじゃん!」
「仲良いな!」
「羨まし、浴衣デート!」
「間宮、俺にも奢って」
「何でだよ、て言うか邪魔すんなよっ」
「あーコワ、黒間宮!」
タッキーが間宮の肩に腕を回して、みんなが冷やかしにかかってたけど。俺は何も言えずに、輪の外に居た。
ショックだった。手を繋いでデートしている、2人を見たことが。付き合ってるんだし、そうだろうとは思ってたけど。目の当たりにするのとは訳が違う。鋭利な刃物で胸を抉られたような感覚。息が、苦しい。
「じゃーな、間宮!」
間宮に別れを告げて、タッキーが戻ってきた。
「…哀川?」
「悪ィ、俺、帰るわ」
「はっ?何でだよ!」
無理だ。こうやって祭りを回っているうちに、また2人を目撃してしまうかもしれない。狭い神社の境内、十分あり得る。バカみたいだと思われるかもしれないけど、キスしてるところなんて見てしまったら、多分息が詰まって死ぬ。それくらいショックを受けていた。
「さっきの?そんなにダメージ受けてる?」
「うるさい、とりあえず帰るから」
タッキーの腕を払いのけて、境内を後にした。
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