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「待てよ、」 タッキーが、後ろをついてくる。 「気持ちは解るけどさ、前々から分かってたことだろ?」 「…分かってたよ、自分でもよく分からねえんだよ…!」 神社から、200メートルは離れていた。今から祭りに向かおうとするカップルが、手を繋いですれ違って行く。 「タッキー、」 「ん?」 「俺さ、五十嵐と付き合うわ」 「はっ?」 「それか中島。どっちでも良い」 2人とも、夏休み中に2人で会いたいって、誘ってくれていた。こっちから誘えば、喜んで来てくれると思う。 「…ヤケになってるだろ」 「女を忘れるには女、なんだろ?」 早く、忘れたい。苦しくて堪らない。 学校に居るときは5人でバカやってるから、意識してなかったけど。いざ2人で居るのを見るのは辛すぎる。 「正直、米澤より五十嵐の方が美人だよな。巨乳だし」 「巨乳は余計なんじゃ無かったのかよ…」 「余計じゃないだろ、いずれは重要になってくる」 「…お前、キャラ崩壊してんぞ?気付いてる?お人好しのレンくんはどこ行った?」 五十嵐と中島から連絡が来ても、今まで適当に返していた。それは俺なりの優しさ。変に気を持たせるのも悪いし。告白されたら丁重にお断りしようと思っていた。 だけど。お人好し、なんて言ってられるかよ。 俺だって中学のとき遊ばれてたんだし。ちょっとくらい遊んだって、別にバチは当たらないだろ。他のみんなだってやってるよ。 とりあえず、五十嵐に連絡した。明日、部活が休みだから、何してる?って。すぐに返事が来て、暇だから会うことになった。 「タッキー、俺、明日には彼女持ちだから。お先に」 嫌味たっぷりにそう言って、踵を返した。タッキーはもう着いてこなかった。
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