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約束の時間に、約束の場所に行ったら、五十嵐はもう来ていた。花柄の膝丈のワンピース。ロングの髪を緩くポニーテールにしていて、後れ毛が風でフワフワ揺れている。
こちらに気が付くと、ニッコリ微笑って手を振った。
あ、やべ、普通に可愛い。
「お待たせ、」
「ううん、さっき来たとこだから」
小柄な彼女。多分、俺との身長差は30センチ近い。上から見下ろすと、チラリ、と襟元から谷間が見えた。
タッキーが変なこと言うから、変なところを見てしまう。
「ど、どこ行きたい?」
「映画、とか、どうかと思ってるんだけど…」
「あー、オッケー。行こう」
歩き始めると、俺の少し後ろをチョコチョコと着いてくる彼女。
おや?良いぞ?コレコレ、こう言うのが好きなんだよ!
米澤、運動出来ないクセに、歩くときだけ足速いから。アイツと歩いてたら、俺が着いて行くみたいな感じになる。
「そんな靴で、歩きにくくない?」
「え、あ…歩くの遅くてごめんね、」
「あ、いや、そう言う意味じゃなくて…足、痛くないかなって」
「そ、それは大丈夫!哀川くん、優しいね…!」
「…そりゃどーも」
なんか、調子狂う。
米澤だったら、「オシャレは歩き難くてナンボだから!」とか、「そう思うなら荷物持って!」とか言いそうだ。「優しいね」なんて、こんな可愛く言われた事なんて無い。女の子らしい女の子と接するのなんて、何ヶ月ぶりだろ。
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