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俺達は女子と打って変わって快勝だった。
昼休み、タッキーと間宮と3人で、米澤と和田が待ってる渡り廊下に向かっていると、後ろから声を掛けられた。
この感じ。最近やたらある。
振り返ると、また他のクラスの女子だった。
タッキーが「またかよ」みたいな顔をする。間宮も、らしくもなくニヤニヤしていた。最近コイツ、タッキーの変な影響を受けてる気がする。
「先、行ってまーす」
「はい…」
連れてかれたのは、体育館裏。ジメジメしてて、人気もない。
「あの、哀川くん、」
「はい、」
ーーー好きです、付き合って下さい。
おお、ストレート。女の子って凄いよな。男の方がこーゆーのなかなか出来ないよ。
「でも、何でこのタイミング?」
「へっ?」
純粋な疑問だった。普通、長期休暇前とか、修学旅行とか、そういうのじゃないの?何で球技大会、しかも昼休み?
「あ、えと…哀川くん、競争率高いから…」
「はい?」
「フットサルの試合…あ、女子のバレーの試合も、哀川くんのこと見てる人、いっぱい居たから…早く告わなくちゃ、って…」
え、女子のバレーの試合って、間宮鑑賞のこと?
あれ、俺も入ってたの?
つーかフットサルの試合も、全員間宮を見に来てるんだと思ってた。俺がシュート決めた時、やたらキャーキャー言われたなと思ったけど、まあシュート決めたら盛り上がるわな、くらいの感じだったのに。
…俺って、そんなに競争率高いの?
「あーっ、そう…そりゃどーも…」
中学の時の俺なら、きっとみんなに自慢してたんだろうな。「俺、競争率高いらしいぞ」って。だけど、どうしてだろう。
全ッ然、嬉しくない。
「あ、あの、」
「はい」
「返事は…?」
「あ、そーだ、」
忘れてた…何か、頭の中ごちゃごちゃしてる。
「好きな人居るので、ごめんなさい」
彼女はやけに素直に頷いて、姿を消した。
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