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「哀川くん、」 声を掛けてきたのは、クラスメイトの女の子。ちょっと大人しくて…そう、まさに男の3歩後ろを付いて歩く感じの。告白とかするタイプには見えなかったのに。 「お待たせしてごめんなさい、私が待ってるって言ったのに…」 「いや、それは別に。なかなかみんな帰らなかったし…良いよ、」 長いストレートの髪が、秋風に揺れる。綺麗な、女の子だ。 「同じクラスになって、ずっと優しいな、格好良いなって…思ってて、良かったら…、付き合って下さい…!」 あ、そう言えば。この子、文化祭の時、俺の衣装作ってくれたな。その時から、好きだって思ってくれてたのかな。 「…ごめん、付き合えない」 中学の時の俺なら、喜んで付き合ってたと思うけど。 「…彼女、居るの…?」 「いや、彼女は居ないけど…好きな人、居るから」 「…誰?」 「それは、ちょっと内緒」 「告白しないの…?」 出来るなら、すぐしてるよ。 今の俺なら、修了式みたいなミスはしない。 好きだって思ったらすぐに言う。 だけど弊害が多すぎる、この恋には。 「…絶対フラれるから、しない…とにかく、ごめん」 キッパリとそう言うと、彼女は教室を出て行った。
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