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11月も終わりかけている。外はもう肌寒くて、そろそろコートが必要だ。
ーーーやっぱり、やめよう。
帰り道、間宮くんが切り出した。
私のせいだ。私が誕生日を忘れてたから、こんな話になっている。最近、うまくいってたのに…!
「ご、ごめんなさい…誕生日、覚えてたんだけど…日付の感覚が無くて…」
「いや、そういうことじゃなくて」
「みんなお祝いしてたのに最低だよね、今度埋め合わせを…」
「咲、」
珍しく、鋭い声。驚いて黙ると、いつもみたいに微笑い掛けてくれた。
「誕生日の事は…まあ正直ショックだったけど。それはキッカケに過ぎないよ。修学旅行で話した時から、考えてた。無理させてるんだろうな、って」
「そ、そんな…」
「好きになりたいって…好きじゃないってことだもんね、」
こんな話をしている時でさえ、間宮くんは格好良かった。整った、完璧な笑顔。優しい、気遣い。
「無理に繋ぎ止めようとしてごめん、辛かったよね」
「そんなことない!」
「楽しかったよ、俺は。恋人としては終わりでも、ずっと友達で居て欲しい。結構好きなんだ、今の5人で居るの」
そう言って、鼻を掻く。
最低だ、私。間宮くんは、こんなに優しいのに。
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