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「ーーー…つーわけで、付き合ってない。終業式までは休みの日に会ったり、一緒に帰ったりするけど」 「え、じゃあ、乳繰り合って…」 「ない、」 「キスして…」 「ない!」 「なんでもっと早く言ってくれねえんだよ!水臭えな!」 タッキーが、「俺にくらいは本当のこと言えよ」とご立腹の様子だ。 「変な風に噂流したくなかったんだよ、向こうだって転校する前に嫌な思いしたくないだろ」 「俺らが噂流すと思ってんの!?」 「じゃなくて。声デカいから漏れ聞こえるだろ」 そう言うと、全員納得した様子だった。信用してるけど、ボリュームが狂ってるのは確かだ。 「まあとにかく、そう言うことだから。今まで通り、付き合ってるで通してくれ」 それだけ言って、席に向かう。鞄をそこに置いたら、和田と間宮に囲まれた。 「な、なに…?」 「じゃ、じゃあさ、哀川、」 「まだ、例の好きな人のこと、好きなの…?」 珍しく真剣な、その瞳。 なに、なに。何をそんなに必死な訳…? 「す、好き、だけど…?」 「変わらず、好き?大好き?」 「え、なに、」 「良いから答えて!」 「好きだって、」 「付き合いたい?付き合えるなら!」 「そりゃ、付き合えるなら…」 そんなこと、ありえないのに。 何を言ってるんだ、コイツらは。 「よっし、オーケー。分かった」 すると2人は少し離れて。ヒソヒソと小声で話していた。 …何なんだよ…?
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