11

4/6
2495人が本棚に入れています
本棚に追加
/216ページ
それを鞄に押し込んだタイミングで、間宮とタッキーが戻って来た。 「遅えよ、待ちくたびれたわ」 するとタッキーが両手を上に上げて。満面の笑みで駆け寄って来た。 「見て!コレ!」 その手には、赤色の箱。 「なに?」 「和田が!くれた!チョコ!」 「まじでええええええ!」 間宮が「義理だよ」と付け足す。 「殴ったお詫び、だって」 「死ねる、俺、死んで良い。幸せ…」 「良かったな、」 ポン、と肩を叩くと、抱き着かれそうだったから慌てて防御した。野郎とハグをする趣味はない。 「…米澤、来た?」 「ああ、来た。チョコくれた」 「何か言ってた?」 さっきと打って変わって、真剣な間宮。元カノが他の男にチョコ渡して、面白くないのかな? 「安心しろ、義理だから」 「は、義理?」 「って言われたけど。大声で。義理だからね!勘違いしないで!って」 声真似をしたら、間宮は吹き出した。 「へえ、義理ね…」 「なに、間宮も貰ったんだろ?」 「貰ってないけど、」 「は?そんなバカな、」 「貰ってないって」 胸が騒つく音がした。 え、ちょっ…それ、どう言うこと? 「た、タッキーは?」 「俺は和田にしか貰ってない」 「ま、マジで?」 え、じゃあ、コレ、何の義理? もしかして、もしかすると。 まさか、なんだけど… これ、義理じゃないのか…?
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!