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「…なあ、間宮」
「米澤の、好きな人って…誰?」
「…なに、言ってんの。今、分かったくせに」
その、嫌味たっぷりの声。
「いや、マジで。誰…?」
「……」
ニヤニヤして、黙っている間宮。
「…俺、で、合ってる…?」
恐る恐る尋ねたら、間宮が頷いた。
「そうだよ。去年からずっと、哀川のことが好きだって」
まっ、マジか!はっ!?
声にならない声を上げて立ち上がったら、タッキーまで奇声を上げた。聞き取れなかったけど、「マジでか!」とか「両想いじゃん!」とかなんとか。バラエティ番組なら、テロップで記号がいっぱい出てると思う。
「去年からって…お前と付き合ってただろ!?」
「俺と付き合ってる時も。忘れさせてあげるなんて強気で居たけどダメだったから…別れた」
何だよ、それ!
じゃあ、俺達、ずっと両想いだったのか!?
点と点が、線で繋がり始めた。
俺が他の女の子と居たのが分かった時の、アイツの表情、揺れる瞳。やっと合点がいった。
そんな俺を見て、何故かクスクス笑う間宮。
「フラれたけど、まだ好きだって」
「フラれた?誰に?」
「だから哀川だろ?」
「は?俺、フッてない…!」
「フラれたって言ってけど?ごめんって言われたって」
「違ッ…!それ、そういう意味じゃない!俺だって、フラれたと思ってたんだよ…!」
間宮は「やっぱり」と呟いた。
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