12

2/7
2492人が本棚に入れています
本棚に追加
/216ページ
「あーっ!終わった、終わった!」 体育館から出て、真里花が伸びをする。 「1年、早かったなー…」 「ホント。楽しかったね!」 「クラス替え、やだなー」 ドライな真里花が、そんなことを言うのも珍しい。ホントに、今年は楽しかった。真里花も、楽しそうだった。 ホームルーム。ケインはまたセンスの良い差し入れを配った。それを食べながら、奥さんとの関係は良好なんだな、と安心した。 「じゃ、写真撮るから並べーっ!」 これはケインのクラスの恒例行事。教卓の周りに集まって、ケインを真ん中にしてみんなで写真を撮る。去年も撮った覚えがある。 で、それが終わったら。 「学級委員は、荷物運ぶの手伝ってくれな!」 ニッ、と歯を見せて微笑うケイン。 出た、去年も頼まれたんだよな、これ。 真里花、哀川、タッキーにお別れを言って、間宮くんと2人で職員室に向かって、荷物を持って歩き始めた。 「あのさ、」 「はい、」 「5人で写真撮りそびれたから、撮らない?」 「あ、良いね、撮りたい!」 「じゃあ、そうしよう。待ってて、って連絡しとくよ」 間宮くんは器用に片手でダンボールを抱えて、スマホでメッセージを送った。 職員室に着いて、荷物を置く。 「俺、トイレ行ってから行くから。先に戻ってて?みんな居ると思うから」 「分かった、先行ってるね!」 教室まで、駆け足で戻る。 上機嫌で飛び込んで、後悔した。 哀川しか、居なかったから。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!