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一瞬、時間がゆっくり流れた気がした。
やっと耳に哀川の声が届いて、その瞬間に跳ねそうになった。
なんて?好きって…?
「はっ…、えっ?うそ、」
「嘘じゃねえよ、1年の時から好きだった」
うそ、うそ、絶対嘘だよ!
だって、去年の修了式。私はキッパリとフラれたはず。
「ご、ごめんって言ったじゃん!」
「ああ、アレ…」
哀川は笑った。
「何がおかしいの…!」
「全部、勘違いだったらしいぞ」
「ええっ?」
勘違い、って…何?
「俺は、お前を襲っちゃったことと、初めてだったことに謝ったんだよ。無理矢理してゴメン、って意味」
「はっ…?」
「フッたつもりなんか微塵も無かった」
え、それって、じゃあ、真里花の予想通り、だったって事…!?
「そしたらお前が泣くから。俺こそフラれたんだと思ってたんだよ」
な、何それ。
「じゃあ、あの時からずっと、両想いだったの…?」
「らしいな。俺も間宮から聞いてビックリした」
ま、間宮くん!
点と点が、線で繋がった。
真里花が「使い物にならない」って言ってたけど。全部わざとだ。今日のために、お膳立てしてくれてたんだ…!
「米澤、」
「は、はいっ」
「もっかい言うけど、」
ーーー好きだ。俺と付き合って。
ちょっと照れた、悪ガキみたいな顔。
「い、良いよ…」
そう答えると、不貞腐れた声で返された。
「あのな。お前が俺のことどう思ってんのか言えよ」
なに、その女々しい要望。
哀川って、こんなにカワイかったっけ。
「好き、1年の時から」
すると、彼の口元が緩んだ。
嬉しそう、めちゃくちゃ嬉しそう。
「じゃ、今からお前は俺の彼女ってことで」
「よろしくお願いします…」
「こちらこそよろしくお願いします…」
謎にお辞儀をして。顔を上げたら目が合ったから、2人で吹き出して笑った。
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