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振り返ると、哀川。と、その3歩後ろに米澤。
目が合うと、哀川はVサインを突き出した。
「おっめでと~うっ!」
和田が米澤に抱き着く。その米澤のモジモジした感じ。そして哀川のニヤケ顔。
あ、これ、キスしてたなとすぐに分かった。相変わらず、この男は手が早い。本能に正直過ぎて、羨ましいくらいだ。
「おめでとう、レンくん」
「ありがとう、ホタルちゃん」
「あー、なんか部活行く気無くなってきた」
「キャプテンがそんなこと言う?まあ俺もだけど、」
「俺も!」
すると和田が哀川の後ろからヒョッコリ顔を出す。
「えっ?じゃあ私もバイト休んじゃおっかな!?」
「え、良いの…?」
「良いの!2組最後じゃん、パーっと遊ぼ!」
「じゃ、とりあえず飯だな」
「俺、かーちゃんの弁当あんだけど」
「隅でコソッと食えよ、」
「私、ハンバーガー食べたい!」
靴を履き替えて、昇降口から飛び出した。
和田の言う「好き」とはどう言うことなのか全然分からないし、この馬面もどうにもならないけど。慣れてくれたら望みはあるんだろうか。
とりあえずは、このポジションを楽しむことにしよう。
【つづく】
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