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一瞬、頭にあることが浮かんだ。
ーーーいやいやいや、ナイナイナイ。
今まで散々色んな期待をして、裏切られて来たじゃないか。
何となくいい雰囲気になった修学旅行、勢い余ってキスした時だって。キツイ一発を食らって、「あ、こんなに仲良くても脈無しなんだな」って思い知っただろ。
だけど、それ以外に、和田が俺を養うメリットが無い。俺は料理も掃除も母親任せの実家暮らしだし、生活力は全くない。マッサージとか、ヘッドスパとか、そんな特殊能力もないんだから。
「なあ、まさかだけど、」
ーーー俺と一緒に居たいの?
なーんて、と付け足そうとした。
のに、彼女は意外にも頬を染めたのだ。
「え、は、うそ…、」
「………」
「…マジ?」
数秒後には「自惚れるな!」って右ストレートが飛んでくるんじゃないかと思ってたのに。
彼女は恥ずかしそうに、
「夢を追う馬は悪くなかった」
と、付け足した。
まじか、まじか、まじか。
こんな展開、予想だにしてなかった。
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