32/32
2493人が本棚に入れています
本棚に追加
/216ページ
「ま、間宮くんっ!」 思わず大きな声が出てしまって、彼は目を見開いた。 「…なに?」 ビックリした顔も、格好良いな、なんて。スッカリ、若君の虜なのかもしれない。 「私っ、付き合いたい…間宮くんと、」 すると、彼がらしくもなく大声を上げた。 「ほ、ホントに!?」 私を凝視する彼。頷くと、次の瞬間。ヘナヘナと、彼の身体の力が抜けた。足下に、座り込む。 「えっ、大丈夫!?」 慌ててしゃがんで顔を覗き込むと、片手で顔を覆っていて。 「よ、良かったァ~…」 溜め息混じりに、呟く彼。 「最近、哀川とまた仲良くなってたから、絶対ダメだと思った…」 その顔は真っ赤に染まっていて、つられて赤面してしまった。 「俺さ、なんか余裕ぶって待ってるとか言ったけど…マジで不安だった、毎日…」 「本当に?完璧王子の間宮くんが?」 「…全然完璧じゃないよ、俺。今もビックリし過ぎて腰抜けた、」 可愛い、と思った。何でもそつなくこなして大人な間宮くんより、こっちの方が断然親しみやすい。 「多分…米澤さんが思ってるより、米澤さんのこと好きだよ、俺」 相変わらずの赤い顔でそんなことを言うから、また胸がキュンと鳴った。本当に嬉しい、嬉し過ぎる。 「…不束者ですが、宜しくお願いします」 そう言って頭を下げたら、「こちらこそ」と笑われた。 「大切にします、すごく」 その笑顔は、信じられないくらい格好良かった。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!