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「嫌だよ、真里花!絶対に嫌!」
「腹括れ、いつかは絶対に会うんだから!」
「嫌だって!死にたい!いつか死ぬなら今すぐ死にたい…!」
引きずられながら、廊下を進む。
「そら、着いたぞ、っと!」
ドンッ!と背中を押されて、2組の教室に放り込まれた。
一番前の、窓際。アイツはもうそこに座っていた。黒の坊主に近い短髪には、濃いネイビーの学ランが、相変わらずよく似合っている。
「…!」
目が合った。合ってしまった。
…だけど、それはすぐに逸らされた。分かり易く、グルリと。
そして、アイツの親友である高須賀、通称タッキーと、わざとらしく談笑を始めた。
「…見ました?」
「見ました。あからさまですねえ…!」
耳元で、真里花が囁く。私の胸には、グサリと太い棘が刺さっていた。あんな事があるまでは、私が教室に入ったら「おはよう、米澤!」って微笑って挨拶してくれたのに。
正直、アイツとしてる最中は、もしかして両想いなんじゃないか?と思った。だって、大切そうに私に触れたから。ま、それは勘違いだったわけだけど。
やっぱり無理だよ、そんなにすぐ傷は癒えないよ…!
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