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とは言っても、担任は去年と同じ先生だった。入って来た途端に、教室が湧く。 「またケインかよ!」 「やったー!ケインだ!」 教壇に立ったのは、中原(なかはら) 健司(けんじ)。あだ名はケイン。科目は理科、ラグビー部顧問。本人が、突然「ケインって呼んでくれ!」と言い出して、言われるがまま、みんなそう呼んでいる。明るくてバカ…もとい、親しみやすくて、入学当初から人気のある先生だ。 「まあまあ、そんなに喜ぶなよ。担任がイケメンだからって」 そんな軽口を叩きながら、ケインは出席を取った。 「始業式まであと20分あるから、先に学級委員決めようか。さっさと帰りたいもんな、」 ケインがそう言うと、「ケインが早く帰りたいだけだろ!」と、タッキーの野次が飛ぶ。 「ハイ、じゃあ学級委員やりたい人ー!男女1人ずつ!」 それを無視して進める間が絶妙に面白くて、クラスがドッと笑った。だけど、誰も手を挙げる様子は無い。 「学級委員は良いぞ?他のクラスも含めて、委員同士で恋に落ちたりするぞー?」 そんな意味の分からないセールスポイントを挙げられたけど、やはり誰も立候補はしなかった。 すると、ケインが椅子に座って、教卓に頬杖を突く。 「ならもう俺の独断と偏見で、去年と一緒の奴にするぞー」 そう言われた瞬間、私は立ち上がって抗議した。 去年の学級委員は、私と哀川だったからだ。 「それはやめて!」 「それはやめろ!」 私が言葉を発した瞬間、対角線上の男、つまり哀川も同時にそう言った。立ち上がって、ポーズまで同じだ。 「ホラ、息ピッタリ。もうコイツらで良くね?」 ケインが言うと、またドッとウケるクラスメイト達。後ろの真里花なんて、机に突っ伏して笑っていた。
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