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「…息、してるか?」
タッキーが肩を揺すったから、我に返った。
「してるよ、飯食ってんだから」
「いや、全然食ってねえから」
確かに、目の前の巨大な弁当箱は、まだ綺麗にオカズが詰まっていた。
「…まあ、何て言ったら良いのか判んねえけど…元気出せよ」
「………」
これで元気な方がおかしいだろ。
米澤と間宮が付き合ってる?1ヶ月も前から?
マジか、マジでか。
「…何で、気付かなかったんだろ…あんなに見てたのに」
「まあテストだったし、ほぼ接触してなかったもんな。特に噂も回ってねえし。てか間宮も教えてくれても良いのに、」
「…自分のこと、自分から話すタイプじゃねえだろ。俺達が気付いて訊いてたら、多分教えてくれたよ」
間宮は、何も悪くない。だって俺も、アイツの気持ちに気付いてたくせに、自分からは何も言わなかった。米澤と色々あったことも。
どういう経緯で付き合ったのかは知らないけど、2人が両想いなのは事実。だって、恋人同士なんだから。
手繋いでデートしたりしてんのかな。
抱き合ったり、キスしたり?マジか、マジでか。
「…タッキー、俺、泣きそう」
「やめて、キモいから」
「ガチで失恋すんのなんか、初めてかも」
中学の時の彼女は、向こうのアプローチで付き合った。だから向こうが何股だかって話になった時、そりゃショックだったけど、変に冷静だった。そんな変な女、俺から願い下げだって。童貞卒業させてくれてありがとう、くらいの。
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