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間宮のお陰で、俺は全教科で補講をパスした。
「マジ、神!ホタルちゃんっ!」
「次、そう呼んだら殴るから」
「最近、間宮の黒い部分が見えて来たな?良い感じ良い感じ、」
「にしても、あんだけ教えたのに全部30点代って…」
「バカすぎる」
「うるせっ!最高得点なんだから褒めろ!」
終業式。明日から、夏休みだ。
校長が何やらつまらない話をしていたので、俺とタッキーと間宮の3人は、列の後ろに隠れて話し込んでいた。
並び方は身長順。前からタッキー、俺、間宮の順だ。
「野球部の3年生っていつ引退?」
「今週末の公式戦。どうせ負けるから」
「そしたら哀川がキャプテン?」
「そう、」
「こんなバカがキャプテンやったら部活が潰れるよ」
「いや?案外向いてるんじゃない?声大きいし」
「そこだけかよ…!」
「間宮もキャプテンだよな?」
「みたい。投票で決まっちゃって」
「またファンが増えるな?」
「要らないよ、ファンなんて」
体育祭の時に間宮と米澤が2人で弁当を食ってたからか、2人が付き合ってる噂は瞬く間に広がった。「みんなの間宮くん」の鉄の掟を破った米澤は、いじめの対象になるんじゃないかと懸念していたが、「そんなことしたら間宮くんに嫌われるから」と、それは杞憂に終わった。
だけど、「彼女が居ても間宮くんのファンは辞めない」と、コイツの人気は未だにある。告白されたりは無くなったみたいだけど。
「夏休み、何して遊ぶ?」
「プール行こう、みんなで」
「お前、それ…和田の水着目当てだろ」
そんなことを言ったけど、俺も米澤の水着に興味がある。間宮には悪いけど。
「悪いかよ。お前も五十嵐誘えよ、巨乳だし」
「巨乳は余計だって」
五十嵐なあ。可愛いけど、全然ドキドキしない。
週末遊びに行こうとか、マメに誘ってくれるけど。行く気にもならない。
「まだ連絡取ってるの?」
「まあ、」
「へえ、哀川ってモテるんだ」
「モテねえよ、バカだから」
「お前に言われると何かムカつくわ」
盛り上がっていたら、あっという間に終業式は終わった。
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