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米澤の事を好きになったのは、入学してすぐ。 学級委員がなかなか決まらなくて、痺れを切らしたケインが「くじ引き!異議ないよな!」と、予知してたかの様に立派な箱を取り出して。結果、俺とアイツに決まったのがキッカケ。 決まった瞬間は、ダルいとしか思わなかった学級委員。だけどアイツが横でニコニコしてるから、これも悪くないなと思い始めて。文化祭の準備で毎日のように一緒に過ごすうちに、気が付けば好きになっていた。 あの時の俺は、中学の時に付き合ってた歳上の彼女…野球部のマネージャーだった人なんだけど、これがもう隠れてかなり遊んでて、俺の初めてを全部掻っ攫ったクセに本命は別に居て…まあ、とにかく、その人と別れたてで。恋愛なんてこりごり、高校は俺も遊んでやろう!くらいの気持ちだったのに。 真面目で、正義感が強くて。そのくせ勉強も運動も何も出来ない、明るいだけが取り柄みたいな女の子。全然タイプじゃないのに、知らない間にドップリとハマってしまっていた。 誰が何と言おうと、俺にとっての米澤は、可愛くて堪らない女の子だった。 そりゃ、もちろん付き合いたいなとは思ってたけど。もし失敗して、今のこの「一番仲の良い男友達」の地位を崩すのが怖かった。だからもう少し、もう少しだけ、このフワフワした片想い期間を楽しむのも良いかなって。 そう思っていた矢先、修了式の後。2人で提出物を職員室に運ぶのを手伝わされて、教室に鞄を取りに帰った時。部活までまだ時間があったから、ちょっと付き合えよって引き止めて。教室の隅で座って話していたら。 不意に、彼女が言った。
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