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「じゃあ、1人最低でも1つ、出たい種目に挙手して下さい」 6月頭。中間テストが終わると、すぐに体育祭の準備が始まった。今は、週に1回のロングホームルーム。体育祭の出場種目を決めているところだった。 「じゃあまず、男子400メートル…」 「はい!」 「はい、はい!」 手を挙げたのは、哀川とタッキー。 「あと間宮は確定な!あとお前、」 哀川が指差したのは、陸上部の男子生徒だった。 「スウェーデンも男女混合も同じメンバーにしようぜ。そうなったらリレーは全種目、俺たちが戴きだ」 ニヤニヤと満足そうに微笑うので、思わず呟いてしまった。 「そんなに速いの?」 するとある男子が言った。 「この4人、全員6秒台前半だからな」 6秒台前半!?私、今年測ったやつ、9.3秒だったんだけど…私がゴールする3秒も前に、この4人はゴールしてるって事…? 「コイツ6.1、俺と間宮が6.2、タッキーが6.4」 「去年も今年も、クラスが違えば1位だったのに。恵まれてねえわ、俺」 タッキーがボヤく。と、哀川が「その代わり、リレーは毎年優勝だろ?」なんて明るく返した。 そう言えば、去年の体育祭。アンカーを飾った3人が、このクラスに揃っていた。そういう意味では、かなり恵まれている。 「間宮くん、そんなに早かったんだね…」 呟くと、彼は「実はね」って微笑った。運動が出来るとは聞いていたけど、そこまでとは。女子と男子は体育が別だから、全然知らなかった。 「他に、リレーの立候補は無い?」 間宮くんが全体に尋ねたけど、そんな話の流れで立候補するような猛者はおらず。リレーは全種目、その4人に決まった。
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