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ーーーこの2人、付き合ってるから。 え…、な、何て…? 耳から入った情報を、脳に持ってきて、分析するのに時間がかなりかかった。この時の俺は、相当間抜けな顔をしてたと思う。空いた口が塞がらないとか、口をポカンと開けるとか、驚いた時の表現がたくさんあるけど。それをまさに体現したのは、生まれて初めてだ。 俺の頭が真っ白になっていたから、食いつく勢いでタッキーが質問した。 「え、いつから?」 「文化祭の打ち上げ、」 「1ヶ月も前じゃん!」 「そーだよ、気付けよ!」 「いや、気付かねえよ!」 親友が、気まずそうな顔で俺を見る。やっと、脳にエンジンがかかった。わざと、明るい声を出す。 「そーか、そーか。それはオメデトウ。気付かなくて悪かったな、俺達は男2人で寂しく食うわ、」 間宮は、あの「敵状視察」の日から少しずつ仲良くなって、今やもう意気投合している。好きな人が被ってるのは分かってたけど、ソレとコレはまた話が別で。間宮自身は良い奴だし、部活以外、ほとんどの時間をタッキーと3人で過ごしていた。 何となく、2人の距離が詰まってるのは分かってたけど。あの打ち上げの後…何となく嫌な予感はしてたんだ。やっぱり、そういう話になったんだな。 「お幸せに、」 精一杯の、祝福の言葉。 自然に、言えただろうか。微笑って、明るく。
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