22人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
黒リムジン4台で高校生も帰れず
「ほう。みんなぁの噂では、校門の横にはペリーが乗ってきた
どえらいでかい黒いリムジンが、4台も並んじゅうっちゅう話じゃ。
ペリー一人なら1台でええろう」
「ほれが、1台目は先導車、ペリーが乗っている車は装甲車で、後ろに護衛がついとるらしい」
「ここは、日本だ。そんなに危険だったかな?」
ごほっごほ、と咳をしながら、高杉晋が言った。
こいつは、今日も訛らない。
あっぱれな自己プロデュース能力だ。
ただ、喘息もちで、身体が弱いところは、小学生時代の俺を思い出して切なくなる。
「ぼくは、帰りにペリーの黒リムジンを見たいんだがね。どうだい?ペリー君?」
高杉は、口をハンカチで押さえながらペリーに近寄った。
リョーマと武市も目を輝かせた。
「よかったら、わしらぁもちょっくら乗せてくれんか?ちいとだけでええき」
リョーマは、拝むような手の形で人懐こい笑顔で笑ったが、
ペリーは一言
「ザンネンですねー。NO!」
と、答えた。二言だ。
「そういえば、黒リムジンはともかく、俺、新選高校やだよ。
なんか、熱量高いだろ?あいつら」
俺も会話に参加した。
「ほいたら桂、おれと一緒に駅まで帰ったらええ」
「そうか。今日はそうするか。リョーマがいたら安心だな」
リョーマは、この開国高校のAO入試枠だ。剣道の。
高校生にして、警察官相手に国体で優勝している。
まぁ、おれは荒っぽいのは苦手だが、威圧感というものは
おのずとにじみ出るものだ。
最初のコメントを投稿しよう!