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俺の前まで駆けてきた先輩は、膝に両手をついてぜえぜえ息を整えてる。そんな息上がる距離だったか…?死神事情はよく分からない。
「はぁ…はぁ…」
「…大丈夫っすか…?」
「はぁ…ふぅ、大丈夫…!あのさ、対象者の変更をしたいんだけど、良いかな?」
「変更?大丈夫ですけど…」
「ありがとう!じゃあパッパっと…」
スマホを弄る事数秒、OKって頷くから俺もタブレットで更新を掛ける。
「カナトくんはこれで上がりで大丈夫だから」
「え…?」
「指名してくるほどだし、気に入られたんだろうね。お話しておいで」
「は…?指名……?」
「わあ!もうこんな時間!じゃあね~」
俺を1人置いて、ドアを呼び出した先輩はさっさと消えてしまう。それと同じタイミングで、グルグルと接続中だった画面がぱっと切り替わる。
【14時:賢者】
「はぁあ…?!」
静かな廊下に、俺の声が響き渡った。
◆
「よっ!」
ドアを開けた瞬間、片手を上げた賢者に出迎えられた。
わけがわからん。こいつ本当に何なんだ…。ジト目で見つめる俺に、賢者は腕を組みながら近づいてくる。
「なに、今日の死神はご機嫌斜め?」
「……なんでお前何回も死んでるんだよ」
「死にたがりだから?」
「違くて…!」
「ぷっ、怒んないでよ」
「怒ってない」
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