5 大変なことになった話*

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 俺の前まで駆けてきた先輩は、膝に両手をついてぜえぜえ息を整えてる。そんな息上がる距離だったか…?死神事情はよく分からない。 「はぁ…はぁ…」 「…大丈夫っすか…?」 「はぁ…ふぅ、大丈夫…!あのさ、対象者の変更をしたいんだけど、良いかな?」 「変更?大丈夫ですけど…」 「ありがとう!じゃあパッパっと…」  スマホを弄る事数秒、OKって頷くから俺もタブレットで更新を掛ける。 「カナトくんはこれで上がりで大丈夫だから」 「え…?」 「指名してくるほどだし、気に入られたんだろうね。お話しておいで」 「は…?指名……?」 「わあ!もうこんな時間!じゃあね~」  俺を1人置いて、ドアを呼び出した先輩はさっさと消えてしまう。それと同じタイミングで、グルグルと接続中だった画面がぱっと切り替わる。 【14時:賢者】 「はぁあ…?!」  静かな廊下に、俺の声が響き渡った。  ◆ 「よっ!」  ドアを開けた瞬間、片手を上げた賢者に出迎えられた。  わけがわからん。こいつ本当に何なんだ…。ジト目で見つめる俺に、賢者は腕を組みながら近づいてくる。 「なに、今日の死神はご機嫌斜め?」 「……なんでお前何回も死んでるんだよ」 「死にたがりだから?」 「違くて…!」 「ぷっ、怒んないでよ」 「怒ってない」     
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