5 大変なことになった話*

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「俺ともっと話したいんでしょ、付き合ってあげるよ」 「話したくない…!」  テンパりながら激しく首を振る俺を見て、賢者は堪らず笑いだす。なんだよ!別にそのまでして話したいわけでもないのに!まるで、俺がこいつの事大好きみたいじゃんか!  恥ずかしくて、これ以上のここに居たくない。出て行こうとしたけど、近寄ってきた賢者の腕が肩に回って引き寄せられる。流石モンスターとやり合ってるだけはあって、非戦闘要因なのに俺よりも力は強い。ぐっと寄せられたせいで、ものすごい近くまで顔が寄る。 「俺は話したいなぁ」 「はぁ?!」 「蘇生されるまで暇なんだ、付き合ってよ」  なんて強引なんだ…!力任せではなくて、今度は言葉で追い詰めてくる。対して俺の押しの弱さ。あー…だの、うー…だのしか口に出来ず、折れて部屋に入ろうとした時だった。突然隣の部屋のドアが開く。  ここで死神とすれ違うことはあるけど、収容された者と鉢合わせした経験は一度も無い。驚いて固まった俺と、そんな俺に腕を回して巻き添えをくらった賢者とで黙って動いたドアを見つめる。     
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