5 大変なことになった話*

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 ゆっくりと開いたその中から、黒髪の美少女が出てきた。余りの可愛さに全身に鳥肌がたつ。俺たちの視線に気づいた少女は、俺達を、正確には俺の後ろに立っていた賢者を見た途端に、怒り狂った表情に変わった。 「貴様!勇者の…!殺してやる!!」 「残念ながら、僕はもう死んでいるのですが…」  襲いかかろうと上げた少女の腕は、振り上げたままの状態で止まる。煩い金属音と共に、両手が後ろへ引っ張られ見えない何かに拘束される。 「くそ!放せ!!殺す!!」  ガシャガシャと激しい音を立ててもがくと、見えない力は増していくようで、美少女は苦しそうに顔を歪めた。露出の多い服から覗いている真っ白は肌に、赤い線が浮かび上がってきた。肩周りから首、腰、太もも、足首と浮かび上がる線は歪。ジャラジャラと重い金属音も相まって、鎖で縛られてるようだ。 「人間風情がぁッ、」  目を剥いて声をあげる姿はもう美少女とは言えず、悪魔か何かに近い。最後の抵抗なのか大きく体を捻じると、口から大量の液体を吐き出してきた。 「危ない!」 「ひぇ?!」  強く賢者に腕を引かれたから、頭から被る事は避けられたけど、顔面から胸元にかけてはばっちり掛かった。ひどく甘い香りを放つ透明な液体はヌメヌメしていて気持ち悪い。     
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