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ゆっくりと開いたその中から、黒髪の美少女が出てきた。余りの可愛さに全身に鳥肌がたつ。俺たちの視線に気づいた少女は、俺達を、正確には俺の後ろに立っていた賢者を見た途端に、怒り狂った表情に変わった。
「貴様!勇者の…!殺してやる!!」
「残念ながら、僕はもう死んでいるのですが…」
襲いかかろうと上げた少女の腕は、振り上げたままの状態で止まる。煩い金属音と共に、両手が後ろへ引っ張られ見えない何かに拘束される。
「くそ!放せ!!殺す!!」
ガシャガシャと激しい音を立ててもがくと、見えない力は増していくようで、美少女は苦しそうに顔を歪めた。露出の多い服から覗いている真っ白は肌に、赤い線が浮かび上がってきた。肩周りから首、腰、太もも、足首と浮かび上がる線は歪。ジャラジャラと重い金属音も相まって、鎖で縛られてるようだ。
「人間風情がぁッ、」
目を剥いて声をあげる姿はもう美少女とは言えず、悪魔か何かに近い。最後の抵抗なのか大きく体を捻じると、口から大量の液体を吐き出してきた。
「危ない!」
「ひぇ?!」
強く賢者に腕を引かれたから、頭から被る事は避けられたけど、顔面から胸元にかけてはばっちり掛かった。ひどく甘い香りを放つ透明な液体はヌメヌメしていて気持ち悪い。
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