5 大変なことになった話*

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 苦しくて堪らなくて、マスクを取れば少しは変わるかもと首に手をかけたが、上手く捲れない。とにかくいち早くマスクを取って欲しい。何時もなら簡単に脱げるのに、こう言う時に限って上手くいかず悶える。首の辺りを必死に引っ掻いていたら、賢者がゆっくりこちらへ近付いてきた。ドン引きな顔をしてそうだけど、今の俺にそれを確認する程の余裕も無い。  冷たい指先が喉元に触れると、それだけでも気持ちよくてヤバイ。変な声が出そうで口を押さえようとしたけど、動くなと怒られた。何かに掴んでないと、堪らなくてきつく自分のズボンを握りしめた。 「よっ、と……?!」  簡単に捲りあげられ、マスクから解放された頭にひんやりとした空気が触れる。 「っふ、んんッ」  水から上がったばかりみたいに口を開いて息を吸い込むけど、求めていた変化は訪れない。くそぉ、そんなに甘くなかった…! 「もう、やだぁ…」 「お前…顔…」 「むり…ッ、はっ、ほんと、たてなぁ…!」  せめて、風呂場までで良いから連れて行って欲しい。腰が抜けて動けない事を伝えようとしてるのに、口からでるのは呂律の回っていない言葉だらけ。おまけに、視線を感じるだけでもゾクゾクしてきて、変な声も止められない。 「んぁ、やだ…ッ!たすけて…」     
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