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藁にもすがる思いで、賢者へ腕を伸ばす。早く抜きたい、イってこの状態から抜け出したい。蚊が鳴くような声で求めた助けは、賢者に届いたようで、伸ばした腕を掴まれる。それだけで体が震えるけど、唇を噛んで必死に我慢した。無理やり引っ張られて膝立ちになった所で、綺麗な顔が間近まで迫ってきた。
「後悔しない?」
「ない…!」
「……分かった、助けてあげる」
両脇に腕を入れられると、勢い良く体が浮いた。無理やり立ち上がらせられても、ぐにゃぐにゃな体は賢者の方に倒れ込む。そこまで計算済みのように抱きとめられると、歩き出した賢者に引きずられていく。
やっと下半身の熱を解放できると安心したのも束の間、すぐに体はベッドへと投げ込まれた。なんでこんな所に投げ込むんだよ、早く風呂場に連れてけよ!怒りを込めて賢者を見上げると、着ていたマントを床に投げて同じようにベッドに乗り上げて来ていた。
「な、に…?」
「これからやる事は、治療だから」
釘を刺すような言い方をしたと思ったら、賢者の手が胸をなぞる。スーツ越しに撫でられ、弱い刺激なのに、気持ち良くて肩が震える。
「あ…っ」
思わず漏れた声が、女みたいで恥ずかしい。出ないように唇を噛み締め、口元を手の甲で押さえると、賢者が口の端をあげて笑った。
「お前、その顔の方が良い」
「?」
「俺の時だけは、外してよ」
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