6 わけの分からない感情の話

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6 わけの分からない感情の話

  「元気出して、カナトくん。あれは事故だったんだから」 「…そうだな」  あの衝撃的な淫魔事件から3日。正直、魔落ちの時よりも参っていた。  恥ずかしながら童貞のまま死んだわけで、そう言った経験が全くなかった俺の初体験が、まさかの尻でのセックス。しかも入れられる方、媚薬てんこ盛りで、意識が飛んでも犯されて目を覚ますぐらいの激しさ。  そんな上級者向けで処女喪失した上に、相手が会って2回目のそこまで親しくも無い男。イケメンだったのが唯一の救いだ…。  おまけに、凄惨な現場を、帰りが遅いと心配してやってきた先輩にばっちりと見られてしまう。淫魔の体液を浴びせられたって言い訳した賢者に、それは辛かったろうに…と体力が切れてヘロヘロな俺に引く事も無く労りの言葉をかけてくれただけじゃなく、一人で風呂も入れない状態の俺の体を洗って、パジャマに着替えさせて、次の日は有給までくれた。この人、死神じゃなくて天使だよ、死神辞めた方が良い。     
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