6 わけの分からない感情の話

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 なんて声を掛けるべきか、悩んだ結果いつも通りの呼び掛けになってしまった。それでも、賢者には届いたみたいで、緩慢な動きで振り返る。興味なさげだった賢者だったのに、俺の顔を見た瞬間目を見開いて固まった。  な、なんだよ、その反応…思わずたじろいだ俺に、立ち上がった賢者の方から近寄ってくる。 「な、何だよ…?」  逃げるわけにもいかず、へっぴり腰で迎え撃つ俺の目の前まで無言で歩み寄ってきた賢者は、俺の全身を見てから、良かったと大きく息を吐き出した。一体なにが良かったのか…さっぱり分らん。俺の疑問に気付いたのか、賢者はバツが悪そうな顔をした。 「…もう来てくれないかと思った」 「そんなわけ…」 「会うために、俺が死にまくってたの知ってた?」 「え、何それ…?」 「話したかったから…お前に会うためには、死ななきゃいけないでしょ」  確かにその通り。すでに死んで死神バイトなんかをしてる俺と会おうとするには、死んで迎えに来てもらうしかない。だけど、俺がこいつの専属でもないので、死んだら絶対に会えるわけでもない。俺と話したいだけで、何度も死んだなんて…なんて不毛な事してるんだ、こいつ…  先輩はこの事を知っていたからセッティングしたなんて言ってたのかもしれない。 「とりあえず、ここじゃ危険だから…待機室行くぞ」     
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