6 わけの分からない感情の話

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 討伐科、45区画……その言葉に血の気が引いた。45って今俺達がいるところだし、討伐科が緊急出動するなんて、一般では太刀打ちできないような奴が現れたって事だ。  こんな時はどうすれば良いか、慌ててタブレットを開く。Q&Aをタップして、ひたすら接続を待つ。こんなにも繋がりが遅いとイライラした事は無いかもしれない。 「ねぇ、大丈夫なの…?」  忙しなくタブレットの端を叩く俺に不安を感じたのか、遠慮がちに賢者が声をかけてきた。大丈夫じゃないけど、大丈夫にしなきゃマズイ状況なのだけは俺にも分る。  なんて答えて良いのか言葉に詰まってる間に、画面が切り替わった。一番上に、待機室45区画で障害発生のリンクがあって、迷わずそれをタップする。早く繋がってくれ…!念を送りまくる事しか出来ない俺の後ろで、物凄い轟音が響いた。  驚いて振り返ると、廊下の角から煙が上がっている。それに、こっちに近づいてくるような足音も聞こえる…やばい、これは本気でやばいかも…?! 「うっわ…何あれ…」  地響きに似た音を立てながら角から現れたのは、体から煙をあげている狼に似た獣だった。炎を纏ってるせいで、一気に廊下内が暑くなる。あんなのに襲われたらひとたまりもない…!     
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