6 わけの分からない感情の話

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 被っていたマスクを勢いよく頭から毟り取ると、獣目掛けて全力で投げる。それに反応したのか、大きく振られた尻尾のせいで、物凄い熱波を体全身に受けた。飛び込んできたマスクを捕まえようと前足を上げた獣は、動きを止めてくれた。予想通りだ!この隙に全力で走り出すと同時に、地面に叩きつけられた前足のせいで地震と熱波が襲う。だからって止まってられない。収容予定だった部屋の前まで辿り着いたら、いつもの鍵を差し込んでドアを開け、転がるように部屋の中へと逃げ込んだ。  床に倒れ込み、やっと息が吸える。目だけで賢者を探すと、ドアを背もたれにして呼吸を荒らげながら座り込んでるのを見つけた。部屋の前を鳴きながら駆け抜けてく獣の音を聞いてから、助かったとやっと体の力が抜けていく。 「さっきの…なに…?」  視線に気づいたのか、目があった賢者が息も絶え絶えに尋ねてきた。そんなん俺だって知りたい…首を振って分からない事を伝えながら、起き上がる。 「けど、悪いヤツでは無いと思う」 「なんか犬みたいだったね。じゃれてきてたって言うか…」 「あんなんにじゃれつかれたら死ぬわ」 「骸骨マスク投げてたけど、大丈夫なの?」 「あー…どうだろ、あれ正確には俺のじゃないからなぁ…」 「へぇ。それも大変そうだけど、あの犬に匂い覚えられたんじゃない?」 「げ…」  遊んでくれる人だと覚えられたら、今度こそ死ぬかもしれない。先輩に相談する項目が増えて、眩暈がした。  ◆  学ばない自分の情けなさときたらない。     
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