6 わけの分からない感情の話

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 この部屋がオートロックであることは、淫魔事件の時に学習済みだった癖に、またもや一緒に入って閉じ込められると言う失態を犯してしまった。今回は緊急事態だったって事もあるけど、2回も同じ過ちを、こんな短期間でするとは思わなかった…  中にはドアノブすら無いから、完全に外からしか開ける方法は無いっぽい。今日はガラケーも無いので連絡手段もなし。バイトで使ってる鍵ならワンチャン?!と思ったけど、待機室内では使えなかった。完璧詰んだ状況に自己嫌悪の溜息しか出てこない。  譲られた椅子まで戻ってくると、ベッドに腰掛けてた賢者に顎で机をさされる。そこには、湯気をあげるカップが置かれていた。香り的にコーヒーだと踏んで手に取ると、中身は真っ黒なままだ。うげ、ブラック…コーヒー牛乳しか飲んだこと無いけどいけるかな…。ゆっくりと口に含む。あまりの不味さに吐き出しそうになったけど、そこは意地で飲み込んだ。 「プッ」     
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