6 わけの分からない感情の話

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 そんな俺の行動に堪えきれず笑いを漏らしたのは、ただ一人。顔を背けて肩震わして笑っている、目の前の賢者。こいつの笑いのツボが分らない、今の何が楽しんだ。笑いがおさまるまで、ジト目を向け続けてやった。そのせいか早めに笑いをおさめると、俺のカップを持って立ち上がる。隣の部屋に消えた賢者だったけど、すぐに戻ってきて俺へカップを渡してきた。今度はたっぷりの牛乳か混ざっている中身を確認してから受け取る。おそるおそる口に含むと慣れ親しんだ甘いコーヒー牛乳の味で、ほっとした。   「次にここが開くのは、8時間後って所かな」 「何で分かるんだ?」 「俺が死んだ後に宿屋に泊まったから…蘇生は次の日まわしだと思う」 「……そんなもんなのか?」 「そんなもん」  正直勇者達の感覚がよく分からない。死んだ人間を生き返らせれるなら早く対応するに越したことは無いと、俺は思ってしまう。それがバッチリ顔に出てたのか、賢者が苦笑を浮かべた。 「慣れるんだろうね、特に俺は回数多いし」 「……俺は蘇生された事無いからよく分かんないけど、お前が生きにくそうなのだけは分る」 「へぇ…そう思う?」 「猫かぶりすぎだし」 「あはは、それは俺も自覚ある。勇者パーティの賢者様だからね、それなりに出来た人間演じないと」 「向いてないよな」 「見る目あるじゃん、人の為になんてクソ喰らえって思ってるよ」 「腹黒い賢者だなー」 「そんな賢者の、偽善者てんこ盛りな話してあげようか?」  カップ片手に悪そうに笑う賢者の提案に、俺も似たような笑みを浮かべて頷く。まずは正義厨な勇者と出会った所から、と始まった話に、簡単に惹き込まれて行った。     
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